生贄合評スレ[41]
2004 11/10 01:53
石畑由紀子

こんばんは。まだ感じたことの一部分しか言葉になりませんが、少しずつここに記してゆこうと思います。(本当に少しずつかも)(というか始めは読解でしかないかも)

『塔』についての解釈は佐々さんとほぼ同意見です。具象でいえば男性器。抽象でいえば欲情もしくは繁殖欲求(根方)からエクスタシー(頂頭)という過程を塔になぞらえているとも感じました。
それを受け、『月』と『空』はそれぞれ女性器であると捉えました。月(にくづき)に空と書いて『腔』、つまり腹の中、体内の空虚な部分。そこから『空』は子宮であることが想像できます。
> 空に切りたつ
と書かれている『月』は、つまり子宮への入り口と考えてよさそうです。
その空が作中で『明けそめ』、『明かし』、『明けやらず』と変化するさまを考える時、『塔』を通じて『おれ』と『おまえ』の心情、そして『傷』の意味も見えてくるのではないでしょうか。

互いに独立し一体にはなれない二人が生殖という手段で共通の遺伝子を産み出そうとする生物としての『おれ』の本能、繁殖を、しかし『おまえ』の何らかの意志によって拒まれる……、暗喩としてレンズを考えた時、それは避妊手段?
> ああ見てみろ
という促しには慟哭すら感じます。
繁殖以外の目的でもって性行為を持つのが人間だけの快楽として、けれどこの詩で描写されている性行為と『おれ』、もっといえば『空』として描かれている子宮には、快楽目的だけではない繁殖意志を強く感じます。
> ああ見てみろ空は明けやらずひとすじ
> の傷にたえ
は『おまえ』の傷というより、自身によって繁殖を拒まれた自身の子宮が負った傷、それを『おれ』が指し示しているように思えます。

(んん。本当に読解の試みだけで今日はまずここまで)
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