ニューススレ[449]
07/11 06:42
もぐもぐ

なお、人権は、それを守るための国家が正常に機能していなければ、実効的に保護されえない。無政府状態の国で、どれだけ悲惨な殺戮が起こるかは、ユーゴやルワンダの先例を見ても明らかなことである。その意味で、実際上、国家は人権に先立っている。
なお、この際の国家というのは、統治機構としての、人的・物的施設の集合体のこと(要は国会や行政庁のこと)である。国民主権だろうが天皇主権だろうが、大統領制だろうが議院内閣制だろうが、自分で制定した憲法だろうが他国から押し付けられた憲法だろうが、とにかく統治機構の人や物がきちんと動いていてくれれば、人権は守られ「うる」。統治機構が機能不全に陥ってしまうと、人権どころではない(他国からの細々とした善意の支援にすがるしかないとか)。

勿論別の問題として、人権を全く守らないような政府が登場した場合にはどうなるのかという問題が起きる。この場合には人権を守るためにその政府と闘うしかないだろう(所謂「抵抗権」)。政府はそもそも人権(「人権」というのが西欧の歴史上現れた、特殊な前提をもった概念だというのなら、もっと一般的に、「人民の福祉」とか、「人民の幸福」とか言っても良い)を守るためにあるのだから、全く人権を守らないような政府は変えてしまうより他ない。この場合、革命や内戦が起きるが、人権を全く守らないような国に生き続けるよりは、ましである。ロビスピエールの恐怖政治の続くフランスや、黒人奴隷制の引かれる合衆国に住みたくなかったら、その政権を倒すために闘うしか道はない。(問題は、見極めが難しいことや、勢力が拮抗した内戦になった場合に無駄に戦闘が長引きがちになること、等である。イラクの場合には、外部からの介入で、かつ、前者についてあまり合意が取れていなかった上に、更に、後者まで怪しくなったので、話がややこしくなった。)
スレッドへ