ピセラン ポエリア 鳥の歌
もも うさぎ

 ピセラン ポエリア 鳥の歌


あたしが夢の扉を叩けば
ピセランポエリアが 眠りのはじっこを
嘴でついばんで そのままぐんぐん飛んでいく



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


遥か上空に神様を探して飛んだ
飛ぶだけ飛んで 古い地球儀の上で 昼寝しているあなたを見つけた
仕事中の居眠りなのか ガラス張りのオフィスのせいで
あたしからはよく見えない 神様も
よく見えない



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


そのまま飛んで雲の中
中世の友人たちが golden slumbersを飲みつつおしゃべり
頬の揺れる横顔の裏で 互いの秘密を味見し合う
しあわせの糸口は ティーバッグの紐の部分に
あるとか ないとか あるとか
きらきらきりきら



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


キャベツ畑は無人で
あまりに無人なので 焼き払ってしまった
キャベツは当然焼きキャベツになり
キャベツ畑は 世界のはじっこ



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


絹で作られた薔薇の花に アゲハ蝶のとまる
シャンゼリゼの蝶は 目が利くと
雨に濡れた 三輪車の運転手は言う
やがて蝶はシフォンの羽を破りさいて
美しく とけてしまう



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


人魚の洞窟は 静かな太古の鍾乳洞
水はそこにはないのに
反射するだけの水音が 揺れる光を救い出したとき
あなたの背後に 人魚はいる



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


鏡職人の娘は 結婚式を明日に控え
鏡の迷路の部屋の中で 群青色の夜に泣く
幽霊のような秘め事をすべて 睫毛と鏡の間に隠して
写真立ての中へ お嫁に行く



 ピセラン ポエリア 鳥の歌



あなたに触れたい
 それをおさえるためだけに 詩を書く
 それをおさえるためだけに 眠り薬を飲んで 死んでしまう



 ピセラン ポエリア 鳥の歌


大昔の映写機を かたかた廻すのがお得意
壁にとまることも しあわせとかなしみをねだることも

あたしの眠りを嘴から離したら
あたしは夢から真っ逆さまに落ちていって
絹の薔薇も 地球儀も


 

 そこにはなにもない







 ピセラン ポエリア

いつか一緒に 永遠の夢を見ましょう と   鳥の歌













〜ピセラン ポエリア 鳥の歌〜








自由詩 ピセラン ポエリア 鳥の歌 Copyright もも うさぎ 2006-12-22 15:08:37
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
■ 現代詩フォーラム詩集 2006 ■