「 こわちたのふたつめ。 」
PULL.







怪我をした。

硝子の破片を拾っていて、
怪我をしてしまった。
切れた指先から、
ぷくりと、
体液が盛り上がり、
やがて床に流れ落ちた。
染みになった。

わたしはそれを丁寧に拭き取り、
それの染み込んだ布を、
暖炉にくべた。
可燃物のそれはすぐに火に反応し、
部屋中を光で満たす程に、
激しく燃え上がり、
燃え尽きた。

これは誰にも知られてはいけない。
これは秘密である。

そう、
妻にも子供にも、
知られてはいけない。
秘密である。


わたしがなにであるのかは。












           了。



自由詩 「 こわちたのふたつめ。 」 Copyright PULL. 2006-12-19 06:37:58
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