「 はなみずじゅるるん。 」
PULL.







さむい日には、
セーターくんが話し出し、
「ねえねえ。
 はなみずちょーだい。」
「だめ!。」
「ケチ。」




しんぐるべーるしんぐるべーる。
街にはお手てつないだセーターばかり。
じゅるり。

「おれにはいないの?。」
「うるさい!。
 おまえはあたしとひとりだ。
 手編みの刑だ!。」







「おまえがほつれているのは、
 あたしが手を抜いたからさ。」
と、
セーターくんいじめ。

そしたら、
想い出ほつれて、
「まあ、
 そんな日もあるさ。」
と、
セーターくんなぐさめ。






じゅるるん、
じゅうるるん、
ぽろっ。
「また泣いた!。」
「うるさい!。
 これは鼻水だもん。」

「しょっぱいよ。」
「うるさい!。
 飲め。」
鼻水まみれの涙をじゅるり、
セーターくん。








がぴがぴのセーターくんの袖、
「ごめんね。」
洗って、
ふわふわ柔軟仕上げ。












           了。



短歌 「 はなみずじゅるるん。 」 Copyright PULL. 2006-12-18 18:54:02
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