あけがたのうた
佐々宝砂

空は氷点下どころかマイナス240度に下がって
熱いのは内部だいつだって
だからいま昇りかけてる太陽だって
氷点下の空が無邪気に冷めた顔をしたって
気にしないで熱くなる自分勝手

何度目の飛翔で
何度目の墜落か
忘れた

いまは氷点下の空から身を落とそう
熱いドグマのマグマの悪魔で胸充たそう
そんな明け方がくる予想
薄紅の地平に鳴りわたるのは空砲

何度目の滑走で
何度目の停滞か
忘れた

明滅・瞑想・明滅・迷路・明滅・迷惑・明滅・鳴動
地響きにあわせて歌ってみるのはどう?
墜落・享楽・墜落・気楽・墜落・快楽・墜落・驚愕
うごめきあふれる虫たちのカンカンガクガク

スープなんか温めてないで
とっととおいで
こっちにおいで
いでそよひとをわすれやはする

何度目の希望で
何度目の失望か
忘れた

忘れていいことは忘れる
忘れていいことだから忘れる
追い続けた影が空に隠れる
空は満たされる
私はうつろに置き去りにされる


自由詩 あけがたのうた Copyright 佐々宝砂 2004-03-27 05:39:52
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