finalset
プテラノドン

 もはやこれで最後というべきか、立ち並ぶ中古車。
看板のネオン。目に映るドブ川の泡。と、
おそらく強盗が捨てたジュークボックス。
はじけた泡から聞こえる、途切れ途切れのブルース。
片腕のアコーディオン弾きが町へ向かった話。
町までそう遠くはなかったけれど、伸びきったパイプを
引きずりながら演奏して歩く彼に、靴紐が切れた。とか
黒猫が横切っていった。なんて、無用。
 幸福な街路樹の先で
孤独を隠す舗道の先で、ついに
発狂したのは一つの電球。
誰も知らない。その真っ白な停電が
一種の放電だとは―


自由詩 finalset Copyright プテラノドン 2006-10-22 01:22:22
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