芝居の合間
atsuchan69

日曜日、妻は眼鏡をはずした顔で
ハムエッグとデニッシュブレッドの朝食をとりながら

やつらに全体を見せてはならないの」と言い、

世界は分裂させて統治するのがふさわしいのよ
思想も宗教もそのために対立しなくてはならないの
歴史が壊れた日、WTAの21号決議案は――」

私は、妻のためにカフェオレを注ぎ渡す。

押し寄せてくる未来からの逆向きの時空を、
交差しない正常な向きに変えるべく・・・・」

そうじゃない、それは無理だったわ
だから、時間を循環させる方法を選んだのよ
けして交差する時空へ辿りつかない様に」

つまり、極小の時間のリングを
X線レーザーで増幅し、虚空間に投影された
鏡面効果をもつミニ・ブラックホールへ投入・・・・
擬似膨張を果てしなく行なわせ、
やがて生成される螺旋状の超光波こそ
まさに時空を縫いあわせる、赤い糸だったの」

その日、時航機に乗ったアダムとイブ
ふたり――私達は世界の始原に降り立った」

でも歴史をなぞりながら くり返すためには、
ルールが必要だった。わかる? それは私達の忘却よ」

時間管理委員会の決定には従わなくてはならないの
そうでないと時間と時間が衝突してしまうから。

宇宙がひとつ、この次元から消えることになるわ」

それで今からおよそ20分後、あなたはカエサル、
私はクレオパトラ。すべてシナリオの通りやって頂戴ね」

だけど時間の衝突を仕組んだのは、一体誰かしら。うふふ」


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「時間衝突」というアイディアは、「COLLISION WITH CHRONOS ――by Barrington J. Bayley (1973)」があるが、僕はこれにひねりを加えて「時間が循環する世界」を妄想してみました。いつか暇が出来たらSF小説にして投稿してみよう。



自由詩 芝居の合間 Copyright atsuchan69 2006-10-13 01:12:36
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