詩と、海へ
umineko

児玉あゆみさんって、知ってる方も多いんじゃないかな。ポエトリーリーディングではかなり有名で、ベンズで優勝とか、詩のボクシング関東大会で優勝(だったかな)とか。NHKの番組「真剣十代しゃべり場スペシャル」に出てたのが、この人。自分は面識はないんですけど、うわーすげえって、それを見ていた。

ブログもあるんだけど、そこはちょっと前から止まっていて。でね、そこに書いてあるのはさ。

「しばらく詩から離れようと思うんです」、って。

意味とか真意とか、それは知らないし。もう「新生・児玉あゆみ」がすごく活動していたら、それはそれでいいんだけどさ。

ただ、彼女は一瞬でもそう思ったわけでしょう?そこがすごい。
そこまで愛していたんだ。

あんまり、思ったことないんだよね。詩を手放すとかどうとかって。そりゃ書けなくなったらしょうがないやって、そんなふうに思ってる。でも、それは「詩」の神様から見放されただけだ。自分からじゃない。

彼女がさ。真剣に詩を愛し詩から愛されていたさまがよくわかる。
じゃあ自分は?って問われた時に。私はただ、うつむくだけだ。

詩から離れなくちゃいけないって。私に思える日は来るのだろうか。そもそも私は、「詩」から愛されているのだろうか。ただ「詩」のかたちを借りて、永遠の片想い、それをつづっているだけなのかもしれないな。

「詩」から愛されて、はじめて私に選択権が来る。当たり前だ。

思い出せ。私。失うのが怖いから、ためらった日のことを。なんのためにことばを閉じたのか。私のため?あなたのため?




世界で最も美しい恋愛は、おそらく心中です、と、誰かに聞いたことがある。

私は。詩と心中しない。同意のふりで、私だけが生き延びる。詩は、向こうの世界で涙を流すだろうか。私がそこにいないことを、悔やみ、また恨むだろうか。

詩はきっと私に言うだろう。考え過ぎだよ、ボクらはほら、こんなに仲良しじゃないか、って。

でも。私は知っている。
詩はほんとうに愛したものだけを受けとめる。私はただ、あなたの浅瀬で遊ぶ、幼児でしかない。

私は口惜しくて、泣く。詩はいつもやさしい。詩は、私を守ってくれる。それは私が悪いのだ。私に飛び込む勇気がないと、あなたはずっと気付いてる。

いつか。あなたが大人の私を、翻弄してくれますように。
私はそのとき、幸せだろうか。不幸だろうか。

あなたは静かに言うだろう。
さあ。
一緒にいきましょう。
 
 



散文(批評随筆小説等) 詩と、海へ Copyright umineko 2006-10-01 22:58:49
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