アトミック/パンプキン
atsuchan69
((( クメールの密林に落ちる巨大な太陽//
古代の遺跡は輪郭を滲ませ、
陽炎にゆれる石像のやすらかな貌
それを背後に銃を携えてやって来るのは
ゆきとどいた訓練と民族の誇りを抱いた部隊
((( しかし、その實(じつ)――
☆黄金の三角地帯は、
「女王陛下のためにある! と誰かが囁く
国際的な麻薬取引に
「君の笑みは無用である
「欲しいのは、弾薬 )))
力とは、奇跡と食料
或いは、恐怖//
「しかし君は軌道を大きく逸れてしまった
街じゅうの餓えた子らに
緑の紙切れをバラ撒くと
群がる子らにむかって――
つまり、こう云った
地雷の大地に眠る、歴史
それは君たちの平和の礎である、と。
「いや、そればかりではない
君は財力にものをいわせて街を支配した
みせかけの援助の裏で
売春宿と臓器売買のビジネスに手を染め、
やがてバラ撒いたはずの緑の紙切れは
何千倍にも増えて君の懐に舞い込んだ筈だ
「我々は、君を処刑する
今日はクメールの記念すべき日である
((( そこで私は云った、
「馬鹿な?
麻薬ビジネスには主義も思想もいらない
あるのは、イエスかノーか/のみ
それとも弾薬よりも優れた威力をもつ
<アトミック/パンプキン>
この素晴らしい未来を・・・・
みすみす失うとでも?
「いまや核は武装の必需兵器だ
欲しいのか? 答えろ、
イエスかノーか/
((( のどかな田園風景に残る
地雷で/吹き飛ばされた/土くれの痕
雨水がたまり、
今では・・・・
濁った沼にしか見えない。
かつて国民の三分の一を虐殺した
狂気の夢想家の残党は云った、
「素晴らしい未来だと?
君はこの国に未来があるとでもいうのか
それは一体・・・・どんな未来なのだ?
「薔薇色の未来さ!
そう云って私は笑った )))
「女王陛下には手を引いてもらう、
私がゴールデントライアングルを牛耳るのだ
「君たちは先ずはじめに/この国を
次にタイとミャンマーを赤色化し、
私に忠実であるなら ・・・・やがて
ベトナムとラオスも掌握出来るだろう//
「西側諸国は麻薬に溺れ
君たちはより貧困を拡大し、
粛清しつづける――
最後には誰もいなくなるに違いないが )))
ポルポトが生きていなくて実に残念だ、
<アトミック/パンプキン>
その力によって
君たちはきっと地獄行きだ/いや、
全地の貧しき者たちから
神と呼ばれるに違いないのだ・・・・
自由詩
アトミック/パンプキン
Copyright
atsuchan69
2006-09-12 01:52:52