こ え
yozo

こんにちわ
こんにちわ
カミサマ
ボクはお話があります
カミサマ
貴方に知らせなくてはと思います
ボクは貴方を知る者ではありませんが
貴方はボクを知っていると
街角のスピーカーが言っていました
棒読みの声は録音でしょうか
字を追う瞳は幸福に満ちているでしょうか
今日はちょっと寒いので
暖かいスープが待っていればと
貴方を語る声を聞きます

交差点に掛かるモニターには
太古の昔に一息に消えた
地球最大の恐竜が歩いています
皮膚の色が鮮やかです
デジタルの技術は素晴らしく
草原のように華やかです
音も無く横切る竜の眼下に
何千台の廃ガスが
グルグル渦巻き虹が出来ます
女の子達は逝き急ぐように
変幻自在にカラダを変えます
笑う声音はシャンパンのようです
星の見えない夜のかわりに
ネオンが目蓋と唇に咲きます
つやつやと
つやつやつやと
それはあまりにも美しすぎます
カミサマ
それが見えますか
せめて小指の先だけでも
貴方の位置さえ地図に載れば
朝日は黄金に輝くだろうと
耳に喘ぐ街角の声が
甘く愛しく誰かを捉えます
ボクは貴方にお話があります
強欲で醜いしゃがれ声の
背だけをひょろりと天空に伸ばし
瞬く度に涙を零す
ボクの存在はちっぽけです
RGBにカタチを貰い
ビルを横切る竜を見上げ
弾けては消える飴色の空白を
横目で眺めるだけの者です
カミサマ
それでも見えますか
ボクは貴方を見れないけれど
ただ一つだけを知っています
カミサマ貴方にお話があります
ココに居るのは貴方では無く
ヤワで軽い体躯を繋がれた
面白みの無い者達です
恐ろしく短い閃光になる
たった1つの集合体です
お話があります
アナタでは無く


自由詩 こ え Copyright yozo 2004-03-11 00:39:05
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