小指
とうどうせいら

一弦にふれる
あのひとの
小指をもいで
私の部屋に置いて
爪の先まで
かわいいよ と
褒めてあげたい

私のほっぺの
いちばん柔らかいところに
指の腹をぺたん
くっつけて
好きなだけ
さわっていいよって
言ってみたい

からだなんかいらない
抱いて欲しいとも思わない
私が欲しいのは
あのひとの小指だけ
夜はいっしょの枕で寝て
朝になったら
剥げたエナメルを塗り直してあげる

私は自分の小指の先を
自分で噛みながら
ギターを弾く
あのひとをみつめる

今日も
わたしのかわいい彼の小指は
一弦に

そっとふれる


自由詩 小指 Copyright とうどうせいら 2006-08-31 18:18:33
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