デジャブー
ajisai

僕は夢を見た


僕は海の中にいた

でも不思議と苦しくなくて

自由にそこを泳ぎまわっていた


花のように美しい珊瑚の中を抜け

カラフルな魚たちと一緒に楽しく泳ぐ


いるかの群れがやってきた

僕はいるかにつかまって

くるくると回りながらダンスを楽しんだ


暗い岩場の影にいくと

大きくてきれいに光る魚の尾が見えた


岩場の影から出てきたのは

まさしく人魚

この世のものとは思えない美しさ

僕の目は彼女に釘付けになった


彼女はにっこりと僕に向かって微笑むと

向こうへ泳いでいってしまった

僕は追いかけるのも忘れて

ただ彼女を呆然と見つめていた


気がつくといつもの見慣れた僕の家の天井

素敵な夢の余韻でぼんやりとしたまま

身支度をし食事をして家を出る


いつものように通勤電車に乗り込む

電車を降り会社への通勤路を急ぐ


向こう側から歩いてきた女性

僕は呆然と立ちすくんだ


今朝夢に見た人魚!


彼女は微かに笑みを浮かべ僕の横を通り過ぎて行った

僕は言葉も出ないままに彼女の後姿を見送っていた


自由詩 デジャブー Copyright ajisai 2006-08-15 23:22:31
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