ナガラ族の最期 -旭-
クリ


その人は、生きながら生きる目的を探すのであった
それはまるでコアラのなまけもの…、じゃなくて
なまけもののコアラがいきなり
グレートパリアフリー、いや、リーフに突き落とされたかのようで
彼は苦労に苦労を重ねたクローン人間、いや、苦労人なのであった
それならまだましなほうだ

ほとんど飛べない鶏、それもブロイラーの分際で
セスナからブンッと投げ出されたと同じ程度に
命知らずの身のほど知らずでもあった
その人は、美しい女を愛してから
愛し方を模索し、愛を考えるのであった
よって傷つく以上に傷つけたし
傷つけたと承知している以上に傷つけていた

それは産まれてすぐに千尋の谷めがけ
放り出されたライオンの子のようであった
ムササビ型、猫型、豚型、コモドオオトカゲ型
落ちる姿をいくら変えてみたところで
着地の結果はたったひとつきり

その人は歌いながら
何故歌うのか考えずにはおれなかった
だから誰も聞いちゃいないことに
なっかなか気づかなかったのは、悲しい
失敗だった
失敗することの目的だけはすぐに分かったが

その人は、書き出してから書く目的を探すのであった
大詰めを書き終えつつまるで神業のように
何を書いていたのかが明らかになるのであった
しかしそれは(推敲してないし)その人の技量ではなく
リンゴが落ちるのと同じことだった

Monkさんと嶋田poo作さんに捧げる

                      Kuri, Kipple : 2002.07.09


自由詩 ナガラ族の最期 -旭- Copyright クリ 2004-02-13 00:51:27
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