欠けら
半知半能

 
優しい顔の朝は嫌い

やるせない正午の空気が嫌い

やがてくる夕刻のわざとらしさが嫌い



夕焼けの終わりに

ゆらりと一瞬揺れる炎は少し好き



酔ったように戯れる星光が好き

よそよそしい太陽の熱が放射されるのが好き

余計なものが見えなくなるのが好き

(ようやく夜が始まった)

妖精たちも眠りにつくこの時にこそ私は生まれたかった

夜は私の時間です

夜は私の時間です

夜は私だけの時間なんです



呼ぶ声に私は

良い予感もなくいつも通りに部屋の鍵を閉め

夜明け色の布団をかぶって少し泣いて寝た
 
 


自由詩 欠けら Copyright 半知半能 2006-05-02 01:17:57
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50音の習作たち