何も道をやってこない
クリ
取り残された 丑満つ時の森の道
置いてけ堀の僕が月灯りに帰り道を探す
同じところを何度も歩いているのは
狐の所為ではなく僕が足を引きずっているからだ
いきなり目の前に立ちはだかるのは
ヌリカベではなく立入禁止の鉄条網
道端に魔女の箒が折れて捨てられている
小鬼は動物園の檻の中で反復行動
陰陽のフレーズが洗剤のCM使われる
この国で 不思議は 死んだ
禍々しい 物の怪は消えた
こどもが越える峠は塞がった
僕はもくもくと歩く でも
何も道をやってこない
とうとう
僕だけに なってしまった
ななひとさんに触発され、もちろんブラッドベリの『何かが道をやってくる』へのオマージュとして
クリ、キップル 西暦二千年霜月廿日