まごころ屋
クリ
其れを届けたと 言うけれど
私には貰った覚えがちっともないし
納戸まで探してみたが痕もない 夕べ
熟すほどに
酸
(
す
)
い 果実は密かに割れる
慕うばかりに
過
(
あやま
)
つ 償いと同じほどに
嘯
(
うそぶ
)
く
其れを私に呉れたから と言う君よ
呉れたから そこで口を噤むのだろうか
畳の目の数だけ
根問
(
ねど
)
いを続ける幼子
確かなほどに堪え難い
病葉
(
わくらば
)
はただ
埋
(
うず
)
もれる
与うばかりに請う 幽かさのほどに血を流す
掌
(
たなごころ
)
の 玉葱のような 真心
何故
(
なにゆえ
)
に涙は 君の頬を 伝うのか
Kuri, Kipple : 2002.05.16
自由詩
まごころ屋
Copyright
クリ
2004-02-08 01:39:44