ハム
大覚アキラ
論理の壁は
薄くスライスされたハムよりも薄い
その向こうには
茫洋たる混沌が果てしなく広がっていて
鼻歌を歌ったり
瞬きしたりしながら
涎を垂れ流している
ハム
ハム
ハム
ハムが食べたい
溢れ出した涎は大河のごとく
緩やかな流れに抱かれた小舟の上で
ハム職人は午睡する
もっと薄く
もっと薄く
もっともっと薄くスライスするのだ
そんな夢を見ながら
まどろむハム職人を乗せた小舟は
あとわずかで
滝壺に
自由詩
ハム
Copyright
大覚アキラ
2006-03-17 19:46:48