イカサマから視覚的に繋げる孤独
tonpekep
ぼくはときにイカサマを愛し
嘘をつくことに夢中になる
やがてスルメみたいに
熱が冷めると
かなしいものを反らせている
反らせる部分でぼくは
誰かと繋がっていたくなる
ぱちぱちと吸盤が破れたその先で
とおくを見つめていると人生が
瑞々しく感じられる
いやそうじゃないのかもしれない
人生を見つめているととおくが
美しいものとして無言であるのかもしれない
はるか はるか
見つめるためにぼくは生まれてきたんだ
この章できみが死んでしまうのなら
ぼくは次の章で花を添えよう
ふゆの坂道 ふゆの足跡
ふゆのため息 ふゆのかげ
それらはついに
ひかりそのものになって
ぼくを照らす
風力の
凍っているそのすき間に
珪石のように
留まっている詩が
ある
ぼくはたくさんのひとつづつの中に
無精卵のような孤独を
保有している