夕陽にさよらなを月にこんにちはを
こめ

夕方のあるところの

ある場所のあるアパートの

ある部屋で紅茶をちょびちょび

飲みながら今にも

沈みそうな太陽を眺めながら

テレビに写っている

くだらない番組に飽き飽きしていた

もうすぐ沈むなとか思って

もし一生太陽が顔を出さなければ

日本は夜しかなくなるんだよな

光を見失って

闇へ逃げ込むんだねとか

言っちゃったりしている

テーブルの上のチェスで

一人で見えない相手と

勝負していた

けどかならず決着はつかない

見えない相手なら勝つ術もなく

逆に負ける術もない

横に規則正しく置いてあった

ダーツを一つ取り上げて

テレビの上の方にある的に向けて

腕を振りダーツを投げた

ダーツはうっすらと

弧を描きながらゆっくりと飛び

的の左端のほうに当たった

ぼくはため息をついてまたダーツを

取り上げて投げて取り上げて投げて

5本投げたが

当たったは最初に投げたやつだけで

ほかは壁に刺さっている

そして紅茶を飲み終えたことを確認して

くだらないテレビを消して

カーテンを開けて

今にも沈みそうな

紅蓮の夕陽に

うっとりと見とれて

手を横にふってさよならといった

そしてもうすぐ輝く月にこんにちは


自由詩 夕陽にさよらなを月にこんにちはを Copyright こめ 2006-01-31 15:03:16
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