イエス、イエス、イエス。
大覚アキラ

子供のころは
図鑑を見るのが大好きで、
なかでもとりわけ
『昆虫』の図鑑がお気に入りだった。

今ではあんなもの、
触るのも嫌だ。

蝶は、確かに美しい。
カブトムシやクワガタのカッコよさは、
大人になった今でも理解できる。
トンボの飛翔には、
永遠の神秘が隠されている。

でも、
あいつらの幼虫は、致命的に醜い。
そんな、生理的嫌悪を
乗り越える努力をするのは
いまさらゴメンなんだ。

だから、

イエス、
イエス、
イエス。

すべての四本足の生き物と、
すべての二本足の生き物と、
すべての足を持たない生き物と、
すべての足がいっぱいある生き物に、
おれは、
言っておきたいことがある。

おれは、
おまえたちを肯定する。
ぜんぶ、
ありのままに
その存在を肯定する。

足を持たない生き物や、
足がいっぱいある生き物たち、
たとえば、
イモムシとか毛虫とか、
あるいはミミズとかゲジゲジとか、
正直なところ
おまえたちのことを愛することは
到底できないけれど、
でも、
おまえたちを肯定する。
おれは、
おまえたちを
ありのままに肯定する。

イエス、
イエス、
イエス。

それで、いいだろう?


自由詩 イエス、イエス、イエス。 Copyright 大覚アキラ 2006-01-30 03:17:57
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