しるし
ミゼット

「影絵はわたし
  それはわたしの影」

二体の像に支配されて
イコンの外に出られない

むかし二人のひとがいて
街の女と里の老婆が交わって
生まれた虫が、糸を吐く
紡いだ糸が川になる

わたしとわたしは舌で身体をつないで
お互いをうらがえし、
深みを目指す

わたしたちは底に落ち、
口と両目をふさがれて
朝がきたのが分からない

苛烈な寒さがここまで届けば、

あ、

あ、

つかめるのに、しるし。


自由詩 しるし Copyright ミゼット 2006-01-19 20:51:51
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