冬の旅人
大覚アキラ

そんなわけで
行くあてもないおれたちは
足元の小銭を拾いながら
真冬の街角をとぼとぼと
歩き回るぐらいしかすることがないんだ
無遠慮な視線を巧みにかわして
無機物の保護色を纏いながら
自動販売機に寄り添うんだ
春がきても
何も変わらないことぐらい
もう十分わかっているけど
今はただ
この冬を越すことだけが
おれたちにとってすべてなんだ


自由詩 冬の旅人 Copyright 大覚アキラ 2005-12-29 10:03:26
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
SEASONS