消音器
かぜきり

思い出を・・・夜に捕らえられていませんか。
星が・・・二重を湛えていませんか。

奏でるものが両手をかかげ 柳眉を開いて見つめています

痛みは傷みですか・・・。
むしろ笑顔を侮ってはいませんか・・・。

影は解けずわたしを纏い 音叉を捧げて瞬いています

待っているのでしょうか
そう
待っているのでしょうか

そう

続けます
そのようにして続けます
響くことを
響き続けることを

つづけます

音色が、
夜に置いていかれた今ひとつ、が
虚ろを模した錆びた軋みを
掻き擁きし奏でるものを

ここだよ、と
生じて伝えるしぐさと・・・

意図異なる和音よりも
放たれて惑い狂える震えよりも

鏡が・・・振り子に応えていませんか・・・。
声葉が・・・弾かれていません、か。

音叉がきこえます
ささやきではなく
白き白日の音でもなく

象が光を結ぶように
ざわめきが声色を焙りだすように

届けています

既に
自身が口を開く前に・・・・

望楼の頂にて瞬きをかくさずに・・・
声を・・・届けています


自由詩 消音器 Copyright かぜきり 2005-12-05 18:51:32
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