かぞえうた
石川和広







ひとつ
数えている間
雨の中を子どもが走って
ひとつ
明かりがともると
夕餉をかこむ

その間取調室で
自白がひとつ
強要されている
息をしない人の形が凍えて連なる

いくつものわざわい
そして
さいわい
ふたつ
雨の音が
地平に当たりながら
一人の人が重力のように渦巻いて
恋をしている
銀河
ふたつの星が生まれれば
その前に その手前から遠く
ひとつ
ひとつ
かさねられていく涙
くらし

みっつ
呪われた数字
三すくみ
それでも
わたし
前に進む
ここにあるもの
ここにあるもの
ふるえながら
ロマンティックな独り言
すりむいた痛みの中を
文明のかすかな痛みの中を
子どもがどこまでも
かけていく
あこがれ

みっつ数えられればいい
そうしたら
それでも
朝は来るから







    2005・11・11


自由詩 かぞえうた Copyright 石川和広 2005-11-11 18:11:37
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