はちうえ
かぜきり

わたしは鉢植えです
今日も家主殿から水をいただいております
しっとりふわふわにおいたつ土が
わたしの中で何かを待っています

わたしは鉢植えです
今日も家主殿は私を陽のあたるばしょへと移してくれます
ぽかぽかゆったり流れる時間が
わたしの中で何かを育てています

わたしは鉢植えてす
今日も家主殿は私にはなしかけてくれます
とめどなくなにごともないことばたちが
からっぽのわたしのなかにじわじわ溜まっていきます

わたしは鉢植えです
今日もや主殿に水をいただいております
しっとりふわふわにおいたつ土は
何時もなにかを待っています

わたしは鉢うえです
今日もやぬしどのは私を陽のあたる場所へと移してくれています
申し訳の無い反復の心が今日もじりじりと
陽にやかれています

わたしは鉢植えです
きょうもやぬしは私にはなしかけてくれます
わたしにことばはわかりません
けれどわたしのなかにはやはりたまってゆくんです

わたしははちうえです
今日もやぬしどのは水をくれます
とまどいのない水のながれに
こぼれていくのは土のかおりでしょうか

わたしは鉢うえです
今日もやぬしどのは陽のあたるばしょへ移してくれます
すこしさびしくなったわたしのなかは
べつのものへとかわりつつあります

私は鉢植えです
今日も家主殿は私に話しかけてくれます
わたしのなかにたまったことばは
ただひっそりとうなづいています

わたしは・・・・・。







自由詩 はちうえ Copyright かぜきり 2005-11-09 18:42:48
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
定点観憶測「驕り」