晴れ時々地平線
紫音

西日が照りつけるステンドグラスの片隅で
掴めないそれは透けてゆく

ありがとう
ありがとう

しっかと吃立する華の影を踏み
手繰るものとて無いそれに躓く

さようなら
さようなら

まぼろしのそれを見遣りながら
見えないそれを見つめ続ける

ありがとう
さようなら

気付けば失われ
触れることとて叶わない

さようなら
ありがとう

しきりと瞬くネオンサインの向こうに
それは絡め取られてゆく

さようなら
さようなら

電信柱が空を結ぶほどには
確かなでさえないそれ

ありがとう
ありがとう

内に消化してゆくそれは
身になることもない

ありがとう
ありがとう

さようなら
さようなら

虚脱したこれは
此処に二本の脚で立ち竦む


自由詩 晴れ時々地平線 Copyright 紫音 2005-11-02 13:30:29
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