100円玉の温もり
ベンジャミン

なんだかとっても寒いので
財布の中をのぞいたら
やっぱり寒い

ころりと100円玉
音をたてることもなく居て

街角の自動販売機
120円という表示が淋しい

一昔前なら缶コーヒー一本買えたのに
はみ出した20円は
きっと社会の厳しさだ

そしてそれは
言い知れぬ寒さだ

なんだか余計に寒くなったので
100円玉を握りしめたら
どうしよう
とても冷たくて笑った

街角の公衆電話
小さな扉に吸い込まれるようにして
君の番号を慌てて押した

変わらない声がそこにある
それはきっと優しさだ

そしてそれは
言い知れぬ温もりだ

「どうしたの?」なんて
聞かないでおくれ

説明する前に
僕はきっと泣き出してしまう


    


自由詩 100円玉の温もり Copyright ベンジャミン 2005-10-07 13:52:42
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