茶の味
美里和香慧

01.追伸。今朝はちょぴりっと寒いです。湯の温度は高めに。茶の葉より
02.うちゅうにさいたひまわりにのみこまれるでじゃぶああぁあさひがのぼる
03.(エフ ブン ノ イチ)ノ ゆらぎ ヲモツ人ヨ朝焼ケニ吼エテハクレナイカ
04.あかときのバス停ぽつり消え残るコンビニ前に一輪の傘
05.止らないクシャミクシャミクシャミクシャリ「おはようございます」涙め
06.ほんのりと夏の匂いをひきつれてすいかかすいか店先ころり
07.くしゃみして『あ、あめのにおい』つぶやけばじいちゃんにやりいればがカタリ
08.あぁ!それでも君が点滅 詰まるとこ詰まっちゃったトイレみたいなBlue
09.あまいあめらんらんらららふりふりとかさなるかさにあまいおとだま
10.叱られたじいちゃんまったり茶をすするえんがわころぶひまわりの種
11.頬ばったグリコがとけてカンケリはチィチィカチチチンラジヲの時間
12.笑っちゃうね どしゃぶりの雨ぎざざぁぁぁ冷蔵庫には一六タルト
13.茶ツボはじけるだいどこでじいちゃんがゆらりこただよう夢のすきま
14.雨が立ち止まった真昼間コツコツと涙が上がりこむ 卑怯者
15.風邪ひいて茶ばしらとにらめっこの午後ないちった安住アナにあがる熱
16.じいちゃんにしかシッポをふらないミケのお気に入りは茶の味のよだれ
17.ねこみみにくちびるよせてむねふかくいやしけいのこえもつひとよ
18.茶葉をかむ (きっと)少しだけ西瓜の味がつまらなくなってきた午後に
19.手の紙におしあてた恋文ひとつ インクのしみに炙りでる声
20.生茶生茶葉茶柱ばしゃばしゃりん じいちゃん手足がびろろろろん
21.空みたことかそら耳はさささ死すそらくりかえすあきすとぜねこ
22.根性なしのたそがれは一字空けのそらみたいにぼんやり優しい
23.みずたまりゆるいしせんはごごよじのいろめつかいだたいようめ ぴちゃ
24.空が、われた。ぴかぴかの王冠バッチかざしてハイホォと笑いながら
25.のほほんとじいちゃんころぶ井戸の端すいか頭がならんで 打ち水
26.薬缶には愛らしきものなべにはまやかしをたらす夕げの支度
27.そう、たぶん恋はうたかた東京の夜は7時と小夜子が笑う
28.ジャズジャズジャムるくらやみにともるノイズはぶるーのーとの声さがして
29.すすっている茶の味よりか棄てられる茶葉のゆくえを気にするよふけ
30.じいちゃんが煙と消える日えんがわに渋茶の湯気がぽつり残った


短歌 茶の味 Copyright 美里和香慧 2005-09-26 21:04:05
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
連作短歌