臨時最終列車にて
たりぽん(大理 奔)

誰もが一度は
忘れてしまいたい夢を見る

上昇気流が
鳶を雲の上へ連れ去り
生まれた真空が吸い込む
一匹の羽虫

星だっていつかは消える
恐れることはない

東京行き 東京行き
誰も乗せない 回送列車
白いコンクリートは
永遠の極氷山のよう

遠くで揺れている
駅長さんの懐中電灯はカンデラ型

ぼくはあそこでおりなくては
ぼくはあそこでおりなくては

連結器が がしゃんと鳴って
隣の車両がこちらとずれて
目的地でもない終着駅で

忘れてしまいたい夢を見る






自由詩 臨時最終列車にて Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-09-21 23:17:42
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