新鮮とれたて
石川和広

単純にいえば
どこまでも言葉なんだ

言葉は嘘で出来ている
嘘でしかいえないほんとうがある
そんで言葉がでなくなるような
舌が癌で侵されている妄想に何年も悩んだ

私も言葉で
いつも失われている
というか
ありもしない私を
そしてあなたを
おいかけている
鳥だが
鳥はおいかけない

そして言葉と言葉で
つなぎあわせて
切った貼ったしてしか
いえないことがある

ことも言葉で

いつまでも言葉で
曲がって
会えなくて
またねっていって
失われていく何かを
頭の中の独り言で
埋めて
埋まらなくて

さみしくて
黒いかたまりのような
逆にホラアナみたいな
ものができて
そこを渡るために
また嘘をかさねて
心細い
ほんとう

あなたがいない
あなたがいる

そんな毎日を綱渡りで
送っていると

新鮮とれたての嘘が
また来て四角
また来て死角
また来て刺客

だまされないように
信じている
固くなっている
カラダを
やわらかくしたいけど
硬い
そのままで
ほんとうの渡世


未詩・独白 新鮮とれたて Copyright 石川和広 2005-08-31 21:09:43
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