夏の音
LEO

木陰を探して足を向ければ、蝉時雨が暑さとともに降り注ぎます。
木に寄りかかりじっとしていると蝉の声が耳鳴りのように体の中から聞こえてくるような錯覚を覚えました。
繁った葉の間からちらちらと陽が射して暑さと眩しさに目を細めて。
気配と音と空気と、すべてが夏の中に溶けてしまいそうな‥


夜の闇が降りてきて、蝉の声も聞こえなくなった頃、涼しい風が頬を撫でます。
開け放った窓から「ドーン」と微かな音は打ち上げ花火かな‥。
「ドーン」「パーン」遠く見えない音だけの花火が夜の中を渡ります。
あなたにも聞こえたかしら、遠く微かに響く音が‥


静寂の深夜は虫の声。時折、誰かのはしゃぎ笑う声が響いてきます。
夏の夜は眠らない人が増えるのかしら、夏休みは夢のように過ぎていくよう。
珈琲を片手に窓の外を見れば過ぎ行く影は過去の私なのかもしれない。
遠い夏の夜、私も夢を見ていたのかしら、あの若者と同じように夢のような瞬間を‥


未詩・独白 夏の音 Copyright LEO 2005-08-06 01:41:16
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