蒼い街
青色銀河団

悲しいぼくの胸を
夏の夕暮れの風が吹きぬけても、
時に現実として、
ぼくの胸のこの痛みは、
なつかしい思い出ですらありうるのだ。
この星をめぐる、
情熱に関するいくばくかの
光の残滓としての。

そう、すべては
情熱の時間だったね。
光る水晶の内部温度が、不思議と
生身のそれと一致していた季節。
とざされたうすいろのことばは、
凝固して、ちいさく
悲しい羊水に浮かんでいた。
(拒絶するかどうかは
 ぼくらには選択の余地はなかったのだけれど)

ながれる時間にとって
思い出はもはや純粋な懺悔にすぎない。
あのとき、ぼくらは
野原の花びらの
冷たい部分だけをあつめて
一生懸命夜を産む練習をしていたね。
ほんとは、
耳たぶがつめたくさびしかっただけなのに。
(それなのにあれからずっと
   青の夕陽がふるえて止まないんだ)

そういえば、
つばさのなかでぼくらの未来は死んでしまったようだよ。
まるで美しい宝石みたいに沈黙してる。

きっとここは、
すべてが厚く雨雲に覆われてる淋しいまちだから、
いまも糸でんわのゆめが
そこらじゅうに咲いているんだね。


自由詩 蒼い街 Copyright 青色銀河団 2005-07-27 01:06:12
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