ドップラー現象
ふう






それは
ニッケルとコバルトの間に僕達がいる 
ということ 
右手に 
五つ 
つながったティッシュの箱が
ゆらゆらと揺れていて 
差し伸べられた踏切に
笑い声と笑い声は 
すこしづつ傾いて 
立ちこぎの自転車に見とれている 
時計は針を下げて文字を辞め 
改札からは湧き上がる人と人 
その中のひとつに 
いつもと同じ私がいる 
ということ 
 
 
 
 
 
そう  
おかしなことに 
今日はとても長くて
魚と魚とひれの間から 
抜けた鳥が晨朝 
を伝えるような
終わるためにはじまる一日に 
名前を付けて 
泣いたり 笑ったり 
そう 
そんな私の 
目の前で
カンヴァスが一枚
張ってあるんだね 
とあなたが笑う 
ということ 



 
      


自由詩 ドップラー現象 Copyright ふう 2003-12-10 10:13:11
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