フォギーヒル
大覚アキラ

いつの間にか二人は
会話なんてとっくに忘れてしまい
漂流船のようにあてもなく走り続けて
疲れきった二人がたどり着いたのは
霧に煙る高原のラブホテル
その名はフォギーヒル

黒いシルエットに浮かぶネオンサイン
安っぽく光る「空」の文字に
つがいになった嘘吐きどもが
脇目も振らず逃げ込む
束の間の約束の土地
その名はフォギーヒル

今この瞬間にも地球のどこかで
飢えて死んでゆく子供たちがいる
でも二人にはそんなこと関係ないのさ
テールランプ滲ませながら
滑るように飲み込まれてゆく先
その名はフォギーヒル





自由詩 フォギーヒル Copyright 大覚アキラ 2005-07-01 11:45:43
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