道の右と左に
紫音

鬱蒼と茂る蔦と枯木が這う廃屋
誰も居ない清々しい生の匂い
 なびく髪に感じる生々しい脈動

帰らぬ主を待つひび割れた扉
軋みながら倒れ逝く門柱
彷徨い込んだ痩せこけた犬

布団が干された錆付いた柵の家
漏れ聞こえるワイドショー
 踏みしめるアスファルトの硬度

一つ一つの細胞に刻まれた
遥かなる記憶の残滓
間延びした目覚ましの音


  空はどこまでも蒼い

    風はどこまでも遠い


自由詩 道の右と左に Copyright 紫音 2005-06-09 00:31:59
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