暮れる秋の眼差し*
ひだかたけし
秋雨に濡れ
さやか赤々と
はぐれ泣く子を
眼差す曼珠沙華 、
今の此の世のあからさまの一端
図らずも見てしまい
居場所無くし泣き続ける子の
その恐怖と絶望を知ればこそ
眼差す曼珠沙華の尚もさやか赤々と、
命が染める色を途絶えることなく
濡らし降り続ける秋雨の降り止むこと無く
やがて秋の暮れて泣き声の途絶える頃 、
曼珠沙華もはぐれ子も姿消し
只雨は止むこと無く降り続け、∆
ひとつ残る眼差し赤々と確と在りて。◯
* はぐれたる羽音がひとつ曼珠沙華(「いつか終わりのストーリー」)森田拓也氏への返詩として