私的立ち食いそば屋ランキング
山内緋呂子

 会社出て軽く、またはすこしかなしい時は、そばだ。うどんはモチモチしてて主張があっていけねえ。
多分、だし。あの味と香りに、自分はセンチメンタルを求めるのだな。だから会社帰りに行くのだな。かつをと昆布。あれは、哀愁です。郷愁かな?

で、出し汁だけ飲んでも、それはもっとセンチメンタルの底に陥るわけで、そばの、細く、つるっとのどに入るところが、「私にかまわないで」と言っているようで。まあ、食べている時は何も考えてないけど。そばもしゃべらん。


 そこで、勝手に立ち食いそば屋ランキング。

  3位  あずみ

  ・カレーあり。
  ・店のカウンター内、全員おばちゃんだったりするのがいけねえ。立ち食いそば屋にまで家庭は求めん。
  ・でも、いなりのご飯が、五目寿司。いいね。おばちゃん。用もないのにカウンター近くの水セルフサービスまで行ってみたりする。いいね、おばちゃん。
  ・味は、富士そばと同じくらい。


  2位  箱根そば


  ・椅子が少ないので2位。味はおそらくここが一番。ゆでかげんが、立ち食いとしての普通の座って食べるおそば屋さんみたい。立ち食いで、初めて「そばの香り」がした。
  ・脱サラと思われる40代の店主が多い。時に営業スマイル。会社の延長。
  ・えび天の他に、天ぷらなら春菊、ごぼう、野菜かき揚げから選べるのがいい。ごぼ天ならうどんがいいらしいが、あくまで、そば。



  1位   富士そば


  ・大体店主と思われる男が、そば屋の主人ぽくていい。お運びの女の子が一人いたりして、明るくていい。そのバランス。
  ・大抵どこにでもある。
  
 こないだ、娘さんが一人で来て、店主に「もり?」「かけ?」と聞かれ、「わからない」と答え、店主に「わからないぃぃ?」と言われてた。冷たいほうが「もり」暖かいほうが「かけ」。娘さん、傷ついたようで、静かにわかめそばをすすってた。
娘さん、違うんだ。親父、悪気はねえんだ。おいしいですか?
  ・味は普通。


  問題外  ○で太郎


  ・ゆですぎだ。名前どおりで行くつもりなのか。
  ・割り箸が湿ってたり、すぐそこで、店のおばちゃんが丼物を喰うているのは何故なんだ。チェーン店だろう。スタッフルームとかないのか。で、立ち食いなんだから回転いいんじゃないのか。割り箸よう。


 おそばにはきっとポリフェノールがありますよ。たくさんの食物に入っているけれども、みなさんきっと、各自の好きなものに、ポリフェノールが多く含まれているのだろうな。各自ポリフェノール。チョコレートの人は、ちょこらとる。コーヒーの人は、こるひ。ワインの人は赤ワイなあ、か。私は、おそばポリフェノール。
 
 余談だが、プロテインに「やめていん」という名のものはないのだろうか。
   やめていん…別れたい時、とか。
   ハレクイン…恋したい時。
   グレープバイン…歌手。

 それではさようなら。




2004・7


散文(批評随筆小説等) 私的立ち食いそば屋ランキング Copyright 山内緋呂子 2005-05-21 16:29:29
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