鳥籠。
田中宏輔


みんな 考えることが
おっくうに なったので
頭を はずして
かわりに 肩の上に
鳥籠をのっけて 歩いてた
鞄を抱えた 背広姿の人も
バス停でバスを待つ 女の人も
みんな 肩から上は 鳥籠だった
鳥籠の中には いろんな鳥がいた
いかつく見せたい人は 猛禽を
かわいく見せたい人は 小鳥やなんかを 入れてた
いろんな鳥が鳥籠の中で 鳴いてた
でも 中には 死んだ鳥や
死んだまま 骨になったものを入れて
平気で歩いてる人もいた
さっき 病院の前で
二羽も 飼ってる人を 見かけたから
ぼくは その人に ぼくの小鳥を あげた
これから ぼくは ぼくの鳥籠には
何も 入れないことにするよ
だって 小鳥を飼うのも 面倒くさいもの


自由詩 鳥籠。 Copyright 田中宏輔 2024-03-17 20:39:04
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