鳥籠。
田中宏輔


引っ越してきたばっかりなのに、
ほら、ここは、神さまの家に近いでしょ。
さっき、神さまが訪ねてきたのよ。
終末がどうのこうのって、うるさかったわ。
だから、持ってた布団叩きで、頭を叩いてやったの。
でも、まだ終末がどうのこうのってうるさくいうから、
台所から、包丁もってきて、ガッ、
ゴトンッて、首を落としてやったの。
まっ、首から下は、返してあげたけどね。
はいはいしながら、帰っていったわ。
首は鳥籠に入れて、部屋に置いてあるのよ。
お父さんの首の隣に吊るしてあるの。
お化粧したり、飾りをつけたりしたら、
けっこう、いいインテリアになるわよ。
えっ、また、うるさくしたらって?
大丈夫よ。
お父さんのように、火のついた棒で脅かしておいたから。
それにしても、わたしの終末なんて、
そんなもの、どうしようと、わたしの勝手よねえ。


自由詩 鳥籠。 Copyright 田中宏輔 2024-03-09 11:48:32
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