アサヒ記者
室町

新興宗教の教祖のような声
疑ってはいけません
わたしたちは目がつぶれたセミのようにらせん状に
舞い上っていく
むろん数字だけの高みから堕ちるために

夜は男娼で
朝日とともに西から吹く風の臭いを嗅ぎ分けて
自身の家族が生活するだけの量の記事を書くアサヒ記者が
空港からホテルまで赤絨毯を敷く
どれだけ人を人と思わないで
健康に笑顔で知性的に生きられるかを競う集いは
ワクチン株で巨万の富を得たと自慢するビル・ゲイツがワインをこぼし
そのおこぼれで出来た文化賞の授賞式というかたちで開かれる
壇上に四足歩行の柄谷行人が出てきてワンと尻尾をふり
おこぼれを舐める
真面目で誠実な大衆庶民は魂を売って
だれが死のうとかまわないという折り目正しい日常を生きているというのに
東大出はしょせんこれが末路か
エビデンスがないと駄目だというのですか?
同窓のアサヒ記者が天を仰ぐ
それよりカネと知性を独占したみなさまに愛されたいのです
カネと知性は愛し合う男と女のように引き合うものです
夜は男娼のこのアサヒ記者を丸裸にして首輪をつけ
それからカンチョーして
お尻ペンペンしてやろうか
そういう加虐的なよくぼうが村西とおるしてきた
首を締めてムチで叩いてもいいな
でも鼻血がでるほど殴るのは野蛮だ
いくらアサヒ記者だといっても

左右対称の
釣鐘状の正規分布で描かれる大衆とは
救いようのない暗さと
説明の必要もない明るさの双極性長崎ちゃんぽんなのだが、きみ
この裸踊りの群れから逃れて生き延びる方法はあるのか
アサヒ記者曰く
ぼくはあなたが毒づく通りの人間になる
バカといわれればバカになるし
キチガイといわれればキチガイになる
女といわれれば女になるし
兵隊になれといわれれば兵隊にもなる
でも人間になれといわれても、もう人間には戻れないと
うれしそうに笑う
こいつ
しょうがないので
陽が落ちるまで
男娼アサヒ記者とあっち向いてほいをしている
敗けたらお尻ぺんぺんだ



自由詩 アサヒ記者 Copyright 室町 2024-01-09 07:51:01
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