水滴 (旧作)
石村



昼間の夢と云つたら海の色した童話ばかり。

流線形を解いて身を楽にすると

このかがやきは永遠の答案のやうに姿を消して

はかながる薔薇を秘めた僕らの仲らひに

束の間の雨滴はこまやかなかなしみをそそいだらうか。



何処からか帰り道のハアプの調べを

友だち きみは美しく盗む。

微風きらめく樹立ちを疾り 夏の陽を狩り

和やかにはにかむ主題テーマがすべりだすと

失はれた透明な答案を僕は獣のやうにさがす。


       (一九九一年七月二十六日)




自由詩 水滴 (旧作) Copyright 石村 2023-10-07 13:21:38
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