とんちゃんの歌
室町
暗闇とはフォントの欠落によるものだ
詩とはテキストではなくフォントの葬列だ
空とはフォントのフォントだ
と照り焼きになるのを待つニワトリにいったら
ポークステーキが出てきた
なにもハートマークの目をした豚ちゃんがお尻
ふりふりポークステーキの給仕など
しなくてもいいのに
世の中はこの程度に残酷で滑稽で
無神経だ
豚ちゃん曰く、最後の晩餐
だという
私は言語理論を茶化した罪で食後に
逆さに吊るされるのだという
引力にぶら下がっているのだから空は
地獄なのか
それとも天国なのか
どうにでもいえるだけのはなしじゃないか
植物から分離した人間は
逆さまに立っている
自然の構造をまだ知らないだけだ
一番の遠くとはここだ
風とは未来だ
おまえが先を走って夢をみていよ
うと
風は鼻先で風船にな
っているだけだ
さて私はシニフェとシニファンとい
う詐欺師の手品を茶化してみせた
文句があるやつは出てこい
と逆さに吊られながら夢を見ている