あき
リリー



 一雨ごと秋が
 次第に充ちて来る
 野道行く行く
 さらけ出す
 心一つは鋭きものと今更に知る

 (西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
  道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)

 胸うちに うかがい知れぬもののあり
 そを寂しみて
 横目のやり場を探しているのが わたし

 満ちてくるもの
 心に 音もなく
 姿もなく
 不意に満ちてくるもの

 村里の通雨
 流れ去って雲の切れ間、
 はや昇りたる月は満ちゆく




自由詩 あき Copyright リリー 2023-09-16 21:14:49
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