grim
医ヰ嶋蠱毒

携えるは鉄の鎚
火薬の匂いで頭蓋を満たし
嘔吐を堪え曇天を仰ぐ
宙を翔ぶ鈍色の処刑者を眺め
目醒める俺の白濁した脳は
捧ぐ贄

雷鳴の土を
爬行する軍靴の大群は
孵らぬ卵を温めて
遠くの國の睡る少女に
金属の仔を孕ませに征く

轟音のエレキ
断頭のヴェロシティ
抜錨を合図に
震える心臓が疾駆する
俺は機械仕掛けのけだものとして
一目散に地獄を目掛け

「蹂躙せよ、アクセルを蒸し、喰らえ」
およそ名付け得る暴力の総てと
泥濘を揺らす銃声ばかりが
俺の存在の証左であるから
「貴様は如何だ?」


自由詩 grim Copyright 医ヰ嶋蠱毒 2023-08-18 17:16:27
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