いつも政治オンチの詩人たちは虐殺に加担してきた
室町

「ではきみたちは、そういうふうにこの国で政治といわれたり治世と
いわれたりしているものの正体とは何かご存知ですか」
馬頭先生は黒板に吊るした日本列島地図を指し棒で示しながら
みんなに問いかけました。
そういう問題に一番うといがゆえにすぐに新聞テレビの講談話に洗脳されやすい
ユキゾラホトトギスくんが「はい」と手をあげました。
ほかにも四五人ほど手をあげそのなかに偉人や哲学書好きのハグルマケボリくんも
いました。でもハグルマケボリくんは用心深くあたりを見回してユキゾラホトトギスくんの
漫談を聞いてからでも遅くないと手を引っ込めました。
「はい。ユキゾラホトトギスくん」
馬頭先生はいつものように仕方なく笑ってユキゾラホトトギスくんの漫談を聞く
覚悟を決めたようでした。
ユキゾラホトトギスくんは「アベがー アベがー アベがー」と大声で3回叫ぶと
どうだといわんばかりに周囲を見回して着席しました。
自称詩人の生徒たちから小さな拍手がわき起こりました。ユキゾラホトトギスくんは
彼らから憫笑をもって担ぎ上げられていることを知りません。
馬頭先生は笑みを浮かべると
もう一度日本地図を生徒たちに指し示しました。
「この世界地図をみると日本は非常に小さく見えますね。でもこれはメルカトル図法
というもので描かれているから視覚的には本当の大きさでは描かれていません。
じつは日本という国は意外に大きな国なんです」
以下のサイトで実勢図をみてみましょう。
https://imakara.blog/zatta/truesize/
馬頭先生は自称詩人たちを眺め回して言いました。
「"アベがー"というのはリベラル知識人が安倍晋三もと総理大臣をあらゆる物事に
かこつけて非難する様を
まるでカルトのようだと世間が嘲笑するときのお笑いことばですが
安倍もと首相を理由もなくやみくもに非難するのはあなたがたが
政治というものをこの世界地図のように矮小に歪めて考えているからです」

いいですかと馬頭先生は日本列島を指し棒で叩きました。
もし江戸時代のように日本がほぼ鎖国のような外交政策をとっていたのなら
安倍晋三は政治の責任をとってリベラルや主要メディアから批判されても
しょうがなかったでしょう。
しかし日本は戦後世界でも例のない唯一の米国の実質的占領国になったわけです。
それはサンフランシスコ平和条約以後の今でも政治の裏面ではつづいています。
ですから日本の政治を語る場合には米国の動向を無視して語るわけにはいかないのです。
安倍晋三に限らず日本の政権の動きは米国の動きと連動しています。これは世界の常識です。
ところが何故か
安倍晋三の政治を批判するテレビ 新聞 識者 学者 詩人 作家 批評家たちは決してその背後に
ぴったりついている米政権の動きについては言及しない。
戦後日本の政治は3D(立体)で動いているのに2D(平面)でしか語らない。
なぜかというと新聞テレビ各社は米国を怒らせたくないからです。
すべてを安倍晋三の責任にして叩いているぶんにはだれからも文句はいわれないのです。
でもそれをさせている米国に触れれば 膨れるだけ膨れ上がった巨大な寡占資本によって
新聞社ごときあっというまに制裁を受けてしまいます。
これは文学に関わるすべての者たちもそうです。
むかしのように米国によるベトナム侵略を非難した"ベ平連"のような存在があったときは
正しくリベラルといえた人々がいましたが
いまではもうどこにも存在しません。ノーベル賞も書店の本の売上もすべて巨大寡占資本が
コントロールできる世の中なのです。
米民主党を批判したり非難すれば制裁としてその者にどんなマイナーキャンペーンでも可能な世の中なんです。
ですから
リベラルの頭目のひとり朝日文化人の内田樹なんかにいたっては世界中の良識ある人々がバイデン一族の邪悪な犯罪を非難しているのに
いまだにバイデン万歳のような漫談を綴っているのです。

すると偉人好きのハグルマケボリくんがとつぜん手を挙げました。
「でも安倍晋三が悪いことをやったのは事実でしょう?」
ユキゾラホトトギスくんがパチパチと手を叩き自称詩人くんたちもパチパチと小さく拍手をしました。
馬頭先生は目をパチクリしました。
「さすが偉人好きのハグルマケボリくん。いい質問です」。では考えてみて下さい。
安倍晋三が暗殺されてから一年たちましたが日本はどう変わりましたか?
安倍暗殺以前より不穏で危険な社会になったか それとも以前よりましな社会になったか
どちらでしょう?」
こんなことをいってもあなたがたに理解せよというほうが無理でしょうけれど
明らかにこの一年で日本社会は非常に不安定になっており米の目指す日本の
対ロシア軍事侵攻のシナリオが顕在化してきております。
つまり安倍晋三の暗殺によって彼が必死で支えていた日本社会の平和の底が
抜けてしまったのです。
とはいえ
ものを書く立場にいいながらいまの日本の主要メディアがどれほど腐敗しているか
感受できないということ自体が悲劇であり
その鈍感さ自体が権力による大量殺戮や暗殺に加担していることになるのですが
政治オンチのきみたちにわかるでしょうかね。
安倍晋三がたったひとりでこの国の平和を底で支えていた。だから米にとっては
邪魔だから暗殺された。
そういう現在の国際情況や構造やシステムがわかりますかね。
それがハグルマケボリくんへのわたしの答えです。


散文(批評随筆小説等) いつも政治オンチの詩人たちは虐殺に加担してきた Copyright 室町 2023-08-08 04:31:43
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