クーゲンドルにて(一)
おぼろん

ハーレスケイドにおける一都市、クーゲンドルの街中を、
ヨランたち一行はさまよっていた。一都市? ほんとうにそうか?
そこには見慣れない建物、科学時代の遺構とも呼ぶべきものが、立ち並んでいた。
「ここは正しく異界だな。こんな光景は見たこともない」

アイソニアの騎士は、ただただ嘆息しているようであった。
この世界の導き手である、オーマルは沈黙していた。
ただ、ヨランだけがこの異様(この世界における)に、瞠目していた。
(ここは、本当に科学の世界、古代の世界であるのだな?)と。

「おい、オーマル。エランドルとは、そんなに偉い人物なのか?」
軽口とも言える口調で、アイソニアの騎士はオーマルに尋ねた。
「エランドル様は、この世界の支配者です。誰も、それを凌駕することは出来ません」

「ふん。強敵というわけだ。エランドルを、俺は倒す!」
アイソニアの騎士は、改めてこの世界との戦いを宣言した。
しかし、ヨランは恐れていた。(ここで、戦いとは推奨されるべきものであろうか?)と。


自由詩 クーゲンドルにて(一) Copyright おぼろん 2022-10-15 16:13:03
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