明るい闇の中で(六)
おぼろん

「魔導士を殺すだと? どうやらお前はとち狂ったらしいな。
 我が宿敵はアイソニアの騎士。剣だけでも奴を倒せる」
「しかし、お前は負けたではないか。わたしは、
 お前が何を望み、何を目途としているのかも、知っているのだ」

「すべては祭祀クーラス様の大いなるお考えのため。
 ここで俺が死するとも、その意向は別の者に引き継がれるだろう」
「死を恐れない? 結構だ。しかし、その動機についてはどうだ。
 クーラスがいつまで汝を信用するものだろう?」

そんなエインスベルの問いかけに、フランキスは一瞬迷った。
「わたしが、使い捨ての駒だと言うのか?」
「そうは言っていない。わたしが牢から脱したことも、彼は知らないだろう」

「お前の姦計については、ここでは言うまい。しかし、
 お前の誘いに乗るためには、一つの条件がある。それは、クールラントの平和だ」
「当然だ。わたしは、次の戦争を防ごうとしている。この国の平和は約束しよう」


自由詩 明るい闇の中で(六) Copyright おぼろん 2022-10-09 22:57:24
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クールラントの詩