砂漠の行軍(三)
おぼろん

そして地面は、ざわざわと揺らいだ。
オーマルが言ったように、一行を次の魔物たちが狙ってきたのである。
「シーゲンサ!」オーマルが叫んだ。
「何! シーゲンサとは何だ?」

砂の中から、無数のムカデのような怪物が飛び出してくる。
アイソニアの騎士の剣は一閃、何匹かのシーゲンサを葬った。
エイミノアも負けてはいない。眼前に現れたシーゲンサを斬って捨てる。
「おい、盗賊。お前も手伝え!」

「もちろんでございます」ヨランは、背嚢から一本のダガーを取り出すと、
シーゲンサの一匹に斬ってかかった。しかし、その硬い外皮が刃をはねのける。
「わたしでは太刀打ちできそうにもありません! 騎士様」

「なんとかするのが、お前の役目だ。さっきのような魔法はどうした?」
「魔法はもう、二度と使いません。わたしはこれを使います!」
それは、オスファハン邸からくすねてきた、閃光弾だった。まばゆい光。


自由詩 砂漠の行軍(三) Copyright おぼろん 2022-10-04 19:18:16
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