盗賊ヨランとの契約(二)
おぼろん

「わたしたちは、虹の魔法石を探そうとしております」ヨランが言う。
「エインスベル様は、この虹の魔法石によって、監獄に封じられているのです。
 わたしにも、実は確信はありません。これは一つの賭けなのです。
 ですが、一人の監守が言いました。虹の魔法石が鍵を握っていると」

ヨランは、ためらいがちに一度首を振った。
「わたしは、オスファハン邸に忍び込んで、ある秘密を知りました。
 今は、わたしの計略について、詳細を述べることは控えましょう。
 騎士殿。世界というのは、常に流動的なものなのです」

「ヨランよ。お前はエインスベルの処刑を回避することが出来ると、
 そう考えているのだな?」アイソニアの騎士は、確信を得たいと思う。
もし、この旅が無駄に終わるとしたら、わたしはわたしの生きる目的をも見失うだろう。

「一つ聞いておきたい。虹の魔法石とは何だ?」アイソニアの騎士が問う。
「それは……ハーレスケイドという幽冥界で得られる魔法石です。
 きっと、虹の魔法石はこの世のことわりを変える力を持っているのです」


自由詩 盗賊ヨランとの契約(二) Copyright おぼろん 2022-08-13 17:05:30
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